2024.04.30 |
またまた Roland 製品を購入。 ステージピアノ RD-88 を入手する代償として Roland XP-30 を手放したが、元々 XP-30 はプリセットの音色を鳴らす分には優れたシンセだったが、それ自体で音色作りをするのに適した機材では無かった。 まだ手元にある Alesis micron はバーチャル・アナログで、3つのオシレーターと2つのフィルターを掛け合わせて音色作りができる優れた柔軟性を持っているが、小さなボディを特徴とするこのシンセ単体で操作するには複雑すぎて、PC用のエディター・ソフトを使わない限り無理。 PCでソフト的に音色作りをするのであれば、膨大な種類のソフト・シンセが出回っており、過去の名器と呼ばれるシンセをエミュレートしたものも沢山あるので、それらがどの程度実機に対して忠実に再現できているかどうかは別として、手軽に色々と楽しめることには間違いない。自分自身も Arturia の V Collectionを所有している。 でも、PC画面のノブやスライダーをマウスで動かすのは煩わしく感じる。マウスの反応が悪かったり、画面の解像度の問題なのか、ソフト自体の造り具合なのか、細かな操作が思うようにできず、イライラさせられることがある。 で、やっぱり物理的なノブやスライダーを直接手で動かして、直感的に/偶然的に面白い音を作りたいという気持ちが湧いてくる。 そこで財布と相談しながらウェブ上で物色し、一番自分のイメージに近かった SH-4d を選んだ。キーボード付きの製品も検討したが、デスクトップにおいて利用する上でのサイズを考慮し、手持ちの Arturia Keystep 37 MIDIキーボードを活用することとして、モジュールタイプの SH-4d に落ち着いた。 Rolandは SH-4d はをデスクトップ・シンセサイザーと謳っているが、単にシンセとして音色を作るだけでなく、内蔵されているステップ・シーケンサー機能を使ってグルーブ・ボックスとしても利用できる。5パート(4シンセ音+1ドラムキット)のマルチ音源モジュールであるとも言える。非常に多機能であるが故に、ちょっと判り辛い製品である。 操作するためのセットアップは「パターン」と呼ばれる単位が基本となっている。128(8バンクx16)のパターンを保存することができ、初期状態では23パターンがプリセットされている。各パターンが先に述べた5パート構成になっており、パート1〜4にシンセの音色、パート5にドラムキットをアサインすることができる。 シンセの音色は「トーン」と呼ばれ、920のトーンがプリセットされている。ドラムキット(「リズム・キット」)のプリセットは49あり、往年のTR系のセットも含まれているので、これだけでも価値がある。(昔 TR-707 を持っていたので、それが手元に戻ってきたようで嬉しい。)シンセのトーンと同様にリズム・キットも自分の好みで編集、或いは新規に組み上げてカスタマイズできる。 さて、ここまでは普通にマルチ音源モジュールの説明と変わらないのだが、ややこしいのは、このシンセ・トーンとドラム・キットの組み合わせが「パターン」と呼ばれているところにある。 只、それには尤もな理由があり、それは各「パターン」の5つのパート(4トーン+1リズム)それぞれにステップ・シーケンサーによる音のパターン(シーケンス)をプログラムして保存することができるためである。というか、普通パターンと言えばそれがメインである。 SH-4d では何をするにも先ずは「パターン」を呼び出し、その上で各パート毎にトーンやドラムキットを設定・編集・作成することになるので、シンセよりもシーケンサーありきの、要はグルーブボックスとしての性格が前面に押し出されているような印象を受ける。つまり、SH-4d をあくまでも「シンセ」として使うために買った人は肩透かしを食らう思いをすることになる。 更に、ひとつ面倒なことがあって、シンセの音色を作成中に別のパターンを呼び出すと作成途中のデータが失われしまうため、こまめに音色データを保存しながら作業を進めなければない。一方、幾つかのパターンを繋げて長い楽曲シーケンスを作るチェーン機能は本体に無いので、シーケンサーとしては中途半端。 尤も、私の使い方としては、シーケンサーにはDAWを用いるので、パターン・シーケンスはおまけ程度のものと考えており、マルチ音源モジュールとして本製品を捉えている。 勿論、シンセとしてはオペレーター・モデルが11種類も用意されており、色々な音の出し方ができるので申し分ない。自分的にはSH-4d、SH-3D、SH-101、JUNO-106辺りのモデルを多用しそう。 最後に、電気信号関係で大変気になった点が一つ。 SH-4d は USB MIDI とUSB Audio に対応しており、PCに接続してDAWと連携できる。この時、本体をUSBバス電源で動作させることができる。接続がUSB-C ケーブル1本で済むので大変便利なのだが、 最初PCに繋げた時はノイズが酷くて困った。製品自体のノイズ対策に不具合があるのか、私自身のPC環境に原因があるのかはっきりしないが、試行錯誤の末、USBノイズフィルター(FX-Audio PGNII)を介してPCに接続することとなった。フィルター装置でグラウンド・リフトすることによりノイズがほぼ出ない状態で使用することができている。 |